「よつぼし」栽培技術の要点

1.促成栽培作型

 慣行のポット育苗に近く安定した「二次育苗法」と、高度な技術を要するものの育苗労力を大幅に削減できる「本圃直接定植法」の2種類あります。これまでの研究では、「二次育苗法」で11月下旬収穫開始、「本圃直接定植法」で12月中旬収穫開始で、初期収量は「二次育苗法」の方が高く、4月頃までのトータル収量は大差ないという結果が得られています。

(1)二次育苗法の要点

・406穴セル苗を7月前半に購入し、ポット育苗します。
その後、十分な大きさの株(定植時クラウン径8mm以上)に育てることが最大のポイント。8月下旬まで肥切れしないよう育ててください。大きく育てることができなかった時、株が小さい時には、それ以降でも窒素中断よりも株を育てることを優先してください。
・西南暖地での、定植時期の目安は9月15~25日。11月末から12月始めに収穫開始できます。
・早生性品種なので、原則、24時間長日処理による花成誘導は必要ありません。

(2)本圃直接定植法の要点

・セル苗を本圃に直接定植し、花成誘導時期(9月中旬)までに、十分な大きさの株に育てます。
・そのためには、406穴セル苗であれば7月中旬~下旬、200穴セル苗であれば7月下旬~8月上旬、72穴セル苗であれば8月上旬~中旬を基準に定植します。これより遅いと、株の生育を確保することが難しくなります。逆に、定植が早すぎるのも注意が必要で、花芽が来ないまま栄養成長が進みすぎてしまうと奇形果発生のリスクになります。定植後の生育量は、地域の差や培土等栽培システムの違いによって異なるので、それぞれに合った定植時期に調整してください。
・西南暖地では、花成誘導処理をしなくても順調にいけば12月下旬に収穫開始できます。しかし、微妙な環境条件の違いで遅れてしまい、クリスマスから年末年始の需要期を逃してしまうことがあるので、その対策として、24時間長日花成誘導処理で花芽分化を安定させることができます。
・花成の安定化を目的とした本圃での24時間長日処理は、定植後に十分な大きさの株に育てた後、気温が低下する9月中旬から2週間程度、夕方から夜明けまで24時間日長になるよう行います。コツがいる技術なので、次項の「長日処理による花成誘導の注意点」を参考にしてください。
・窒素成分が抜けやすい栽培システムであれば、24時間長日処理をしなくても、本圃で施肥濃度をコントロールすることで1~2週間程度収穫開始を早めることができます。この場合、定植後に十分な大きさの株に育てた後、8月下旬から9月20日頃まで低窒素状態にします。窒素濃度が極端に上下すると奇形果が発生することがあるので注意してください。
・いずれの花成誘導処理の場合でも、本圃直接定植後、本圃での花成誘導は年次変動が大きくなるリスクがあります。

(3)長日処理による花成誘導の注意点

注)四季成り性(長日反応性のこと)を持つ促成栽培用品種「よつぼし」が誕生したことで、初めて、促成栽培で長日処理によって花成誘導する技術にチャレンジできるようになりました。パイオニア的段階であるため、事例蓄積はまだまだ十分ではありません。
注)間違った方法では、逆効果になり、かえって遅れてしまうことがあるので注意してください。

・花芽分化には、日長よりも株の大きさの方が優先します。一定の大きさ(クラウン径8mm安全見込んで9mm)以上に育っていないと花成誘導されないので、長日処理が始まるまでに十分な大きさに育てることが重要です。
・温度が高いと、長日処理を行っても花成誘導できません。気温が下がってくる9月中旬以降から始めてください。早すぎる処理開始は逆効果です。花成を早めようとするよりも、バラツキを無くす感覚で行ってください。ただし、培地冷却などの技術と組み合わせると、暑い季節の長日処理も有効になることがあります。
・光が弱かったり、蛍光灯など間違った光源を用いると、逆効果になることがあります。5~6m幅のハウスなら3m間隔で2列を目安に、白熱灯を用いて、葉面上で50ルックスを確保してください。
・逆に効き過ぎると、頂花房に続いて腋花房も分化してしまい、芽無し株になってしまったという事例もあるので、花芽分化し易い年には処理を早めに打ち切ってください(花芽分化し易い年の場合、9月15日から2週間の予定で処理を開始し、12日間で打ち切っても効果があったという事例があります)。

2.寒冷地の夏秋どり作型

注意:「よつぼし」は基本的に促成栽培用の品種です。既存の四季成り性品種に比べ、夏秋期の花の上がりが少なく、夏秋期の収量は十分ではありません。既存の四季成り性品種の代替品種とは考えず、従来とは異なるマーケットを狙いにする等の工夫が必要です。
・1月中旬に播種した苗を3月中旬に購入し、暖房条件でポット育苗します。4月下旬に定植し、6月から収穫開始を目指します。
・夏秋期の花の上がりを良くすることが課題で、6月下旬から2週間と7月下旬から2週間、それぞれ、24時間日長による長日処理を行うと、改善が期待できます。ただし、効き過ぎると着果過多になるので、安定した処理条件の解明のため、更なる研究の蓄積が必要になります。

 

3.播種について

・播種から発芽まで2週間以上掛かります。この間の管理が悪いと、発芽率が大きく低下するので注意してください。
・温度が低いと、発芽は遅く、発芽率は低下します。促成栽培の播種適期は5月です。このとき、播種から10日程度25~28℃に保つと発芽を促進することもできます。夏秋どり栽培で1月に播種するときには加温が不可欠です。
・イチゴは基本的には好光性種子です。覆土しないでください。種子に光が当たった方が発芽率が良くなる傾向があります。
・播種から発芽までの間に、一度でも乾燥すると、発芽率は極端に低下します。発芽してからも、根が小さいうちに乾燥すると枯れてしまいます。乾燥厳禁と考えてください。
・排水性、保水性とも良好な培土で、こまめに潅水してください。こまめにできないときは、底面給水などで乾燥させない方法を検討してください。底面給水の場合は、貯まった水が高温になりすぎないよう、苗が育ってきたら根腐れにならないよう注意してください。